Twitter活用事例

ドラマや『FNS歌謡祭』の話題化を裏で支える、フジテレビのTwitter活用方法とは

Twitterとテレビ番組の相性は非常に高く、たとえばドラマの放送中には番組名や主要キャストの名前がトレンド上位にも上がります。この裏側では、テレビ局が番組の話題化に向け、様々な工夫を行っています。今回はオーガニック・広告ともにTwitterの活用を積極的に進め、フォロワー数が民放キー局トップのフジテレビの事例について、同社の清野氏、高橋氏、小林氏、平野氏、そしてTwitter Japanの髙田がご紹介します。
 

ゴールデン・プライムタイムの番組の話題化を担う

MarkeZine編集部(以下、MZ):フジテレビでは、各番組のアカウントと局のアカウントを使い分けて情報発信を行っていますが、それぞれどのように使い分けているのでしょうか。

清野:現在、フジテレビ公式Twitterアカウントは広報宣伝部、各番組のアカウントは番組制作セクションが運用しています。一部Twitter広告プロダクトの活用や各種キャンペーン施策を実施する際に、広報宣伝部が各番組のアカウントを借りるケースもありますが、基本的には番組制作スタッフが番組アカウントの運営を担っています。

Twitter マーケティング 対談

株式会社フジテレビジョン 広報局 広報宣伝部 部長職 清野 真紀氏
 

MZ:発信する情報には、どのような違いがあるのでしょうか。

平野:フジテレビ公式Twitterアカウントでは、ゴールデン・プライム帯(午後7時~11時)に放送される番組の告知を中心に行っています。一方各番組のアカウントについては、アカウント開設後の支援・放送告知を目的とした広告施策を広報では担っており、プロモアカウントなどの広告を活用したフォロワーの拡大、プロモビデオなどを活用した番組宣伝のサポートを行い、日々の番組に関する情報は制作側で発信しています。

Twitter マーケティング 対談

株式会社フジテレビジョン 広報局 広報宣伝部(所属:株式会社CARTA COMMUNICATIONS) 平野 千恵子氏
 

MZ:各番組のアカウントのオーガニック投稿は番組の制作スタッフが担当しているとのことですが、専任でSNS担当がいるのでしょうか。

高橋:担当するスタッフは番組によって異なります。プロデューサーやアシスタントプロデューサーが担当しているケースもあれば、専任でSNS運用のスタッフが付くケースもあります。

また、私が所属する広報宣伝部の各番組担当が、主要キャストのツイートのリツイートやアカウント名の変更、投稿内容のリスク管理などをサポートしているケースもあります。
 

放送前・中・後に分けて施策を展開

MZ:では、現在御社がどのようにTwitterを活用して、各番組の話題作りを行っているのか教えてください。

小林各番組の放送前・中・後に合わせて、Twitter広告プロダクトを活用しながら認知や話題醸成へ向けた各種施策を行っています。

たとえば2022年1月~3月に放送されたドラマ・木曜劇場『ゴシップ#彼女が知りたい本当の○○』は、放送当日にトレンド欄に広告を出稿できるトレンドテイクオーバープラスを活用した施策を展開しました。

このドラマでは、大手出版社が運営するニュースサイトの編集部員である主人公が、自分が本当に知りたいこと/真実 を忖度なく伝えていく姿を通して、周りの人々が様々な影響を受けながら少しずつ変わっていく、そんな人間ドラマが描かれています。

Twitter マーケティング キャンペーンツイート画面

小林:しかし、完全オリジナルのドラマということもあり、伝え方を誤ると“ネットニュース編集部が舞台のお仕事ドラマ”といった限定的な伝わり方やミスリードを招き、興味の入り口が限定的になってしまう可能性があると考えておりました

そのような背景の中、放送当日に「 #フェイクなのは彼らか世界か 」というハッシュタグでトレンドテイクオーバープラスを実施しました。通常はタイトルや放送時間など番組に直接関連した情報をハッシュタグとして打ち出すのですが、今回は作品に関連づいた含みのあるメッセージを採用することで、多くの方にハッシュタグを興味・関心の入り口となり、そこから番組の認知につなげることを狙いました。

また、放送前には番組の内容理解が進むよう、少しずつ情報濃度を上げていきながら、作品への興味を高めていく情報発信を行ってきました。また、プロモアカウントを活用してフォロワー数を拡大しつつ、ティザームービーを活用した動画広告にも取り組みました。

そして、放送後に関してはTVerやFODでの見逃し配信に関する情報や次回予告など情報発信などを行い、視聴の定着を促していきました。放送前後の取り組みは他の番組でも行っていますが、トレンドテイクオーバープラスはゴシップの番組が持つ特性に合わせて実施し、結果としてストレートな訴求では到達することができなかったであろう層にも効果的に振り向いていただくことができました。

Twitter マーケティング 対談

株式会社フジテレビジョン 広報局 広報宣伝部(所属:株式会社CARTA COMMUNICATIONS) 小林 未奈氏
 

MZ:高橋さんはこの番組の宣伝を担当されていたとのことですが、反響はいかがでしょうか。

高橋:Twitterで様々な施策を行ってきましたが、桁違いの反響がありました。特に初回放送当日の会話量が他の番組に比べても大きかったです。
 

番組の告知以外もモーメントを捉えて投稿

MZ:Twitter Japanの髙田さんは、フジテレビのTwitter活用をどのように支援してきたのでしょうか。

高田:私からは、Twitterの提唱するティザー・ローンチ・サステインのフレームワークについてご紹介させていただきました。メディア業界だけでなく、他の業界の事例もご紹介しながら、現在行っている番組の放送前・中・後の施策をサポートしております。

Twitter マーケティング 対談

Twitter Japan株式会社 メディア・エンタテインメント業界担当 クライアントパートナー 髙田 博太
 

MZ:フジテレビでは、この番組の放送前・中・後の意識というのは元々あったのでしょうか。

高橋:番組の放送当日に一番盛り上がる状態を作ることはTwitterを活用する前から意識していました。ただ、Twitterの登場によって動画広告など打ち手が広がったように思います。

また、番組の話題を持続させる上で、Twitterは有用なプラットフォームです。たとえば、物語の山場を迎えるタイミングで告知を強化して、リアルタイム視聴はもちろんのこと、見逃し配信への視聴を促して新しい視聴者を獲得しています。

Twitter マーケティング 対談

株式会社フジテレビジョン 広報局 広報宣伝部 高橋 慶哉氏
 

高田:最近はフジテレビの公式Twitterアカウントで新年のあいさつツイートなど、Twitter上で起きているモーメントに合わせた投稿も行っていますよね。

清野:これまでは番組の情報を一方的に伝える形になってしまっていました。しかし、2020年、2021年と特別協賛したクリスマスボックスの反響が大きかったことをきっかけに、モーメントを駆使した投稿も行い、フォロワーの方とのつながりがより強くなるように努めています。

2022年になってすぐ「あけましておめでとうございます」とツイートしたところフォロワーの方からたくさんの反応をいただけたこともあり、その他のモーメントに合わせたツイートをときどき行っています。
 

月9の興味・関心をタイムラインテイクオーバーで加速

MZ:先ほどの『ゴシップ#彼女が知りたい本当の○○』以外に、上手くいった事例をご紹介いただけますか。

小林2022年1月~3月に放送された月9ドラマ『ミステリと言う勿(なか)れ』は、第1話の見逃し再生数がフジテレビ最速で100万再生を記録し、結果、第1話の見逃し配信再生数は民放歴代最高となりました。この番組の告知でも、Twitterを積極的に活用していました。

人気マンガが原作、菅田将暉さんが月9初主演など、番組の放送前から『ミステリと言う勿れ』の注目度は高く、認知もされていました。そのため、認知の先にある番組への興味・関心を促せる施策ができないかと考えました。

小林:そこで活用したのが、Twitterにアクセスした利用者がその日最初に見る広告を掲載できるタイムラインテイクオーバーです。クリエイティブには『ミステリと言う勿れ』が原作の良さを丁寧に引き出した作品となっていることを伝える動画を使うことで、番組への興味・関心を促しました。

その結果、動画の視聴数や広告のインプレッション数が想定を優に超えました。その日初めてTwitterにアクセスした人という、最も情報に対する受容度が高い人にアプローチできるタイムラインテイクオーバーの魅力を感じました。
 

音楽特番の話題化にもTwitterが貢献

平野:そして、2021年7月放送の『FNS歌謡祭』でも、タイムラインテイクオーバーを活用しました。既に認知度が高く、ファンも多い番組であるため、「デジタル広告の中でも一等地で目立つ場所に広告出稿することで放送日時認知を最大化したい」と要望があり、Twitterの中でも一等地と言える、その日最初にアクセスした利用者にリーチできるタイムラインテイクオーバーを実施しました。

このタイムラインテイクオーバーや番組制作スタッフのモーメントを駆使した番組放送中のツイートが功を奏し、放送時には毎回トレンド入りをする番組ではありますが、タイムラインテイクオーバーの相乗効果もあり、放送中も常に「 #FNS歌謡祭 」がトレンド上位となりました。また副次的な効果としてアカウントのフォロワー数増加にもつながり、過去の放送回に比べて多く獲得することができたという成果も生んだのではないかと考えております。

MZ:髙田さんから見て、今回のフジテレビさんの事例から読者に知ってほしいポイントはどこにありますか。

高田:Twitter利用者が反応したくなるポイントを捉えて、ハッシュタグやキーワードを工夫している点ですね。民放キー局の中でも、フジテレビさんのTwitterでのエンゲージメントは非常に高い数値を記録しています。そのために、各種広告も組み合わせながら放送前・中・後に告知をするフジテレビさんのTwitter活用は、メディア業界だけでなく様々な企業で応用できる要素があると思います。
 

Twitter利用者との距離を縮める施策を

MZ:最後に、フジテレビでは今後Twitterをどのように活用していきたいか教えてください。

清野:現在、各番組の広告・宣伝を考える際にTwitterは最初に想起されるくらい重要なメディアになっています。今回ご紹介させていただいたように、様々な番組で各種広告プロダクトの事例が生まれ、番組の性質と現状に合わせて使う形が浸透しています。

今後もTwitterを利用されている方とフジテレビの距離を縮めていけるよう、各投稿や広告の反応を見ながら様々な取り組みを行いつつ、局内の若手メンバー中心に、さらに進化したTwitter活用を進めていきたいです。

また、年始に行った「あけましておめでとうございます」ツイートのように、人の温度を感じてもらえるようなオーガニック投稿にも取り組みたいと思っています。

高橋:番組の宣伝を担当する我々にとって、視聴率だけでなくTwitterのフォロワー数も一つの指標になってきています。その2つの指標を伸ばすのはもちろん、フォロワーの皆さんにどのような情報を届けるかを今後はより考えていきたいです。

そして、番組とフジテレビを好きになってもらう橋渡しができるよう、番組の制作サイドと調整しながら今後も様々な施策を行いたいと思います。

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