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マーケターが知っておくべき2022年のエンタメトレンド

アメリカのTwitterグローバルメディア&エンターテインメント担当マネージングディレクター、Ged Tarpeyによる記事の日本語訳です。メディアやエンターテインメントのツイートに関する最新ニュースやトレンド、インサイトについて、今何が起きているのかを斬新な視点から解説します。
 

2020年が先送りの年だったとすれば、2021年は回復の年でした。大作映画の劇場公開やブロードウェイミュージカル、スポーツイベント、コンサートツアーなどの開催を待ち続け、ようやく2021年の後半になって劇場やアリーナに戻ることができました。

2021年になり、私たちはこれまで以上に様々なメディアを通じて芸術や文化を楽しんだことは間違いなく、この新たな需要に合わせて公開スケジュールを増加することで、映画会社は2022年の更なる回復を見込んでいます。自宅で動画を鑑賞するか、劇場やホールなどでライブを楽しむかのいずれの場合も、人々は新しいコンテンツをもっと見たいと思っています。

”2021年は好みかどうかわからない映画を観るのにとても良い年だ。新しい映画を見続けていたから、私の中でのトップ5は数日で変わり続けている”

オーディエンスの熱狂ぶりを考えれば、こうしたエンターテインメントのトレンドは2022年も続いていくでしょう。それはデータからも裏付けられています。

 


ノスタルジーを感じる昔のことを誰もが覚えている?

人々の心をひとつにつなげるものとして、懐かしさがあります。2021年は、映画「007」や「ゴーストバスターズ」が郷愁をかき立て、人々は劇場に殺到しました。25年前のアメリカのテレビ番組「ブルーズ・クルーズ」の司会者だったスティーブ・バーンズの動画を使ったペイテレビチャンネルNick Jr.のツイートは、最も好きなブランドのツイートに選ばれ、200万件以上のいいねを獲得しました。そして、ティアとタメラのモーリー姉妹が主演した90年代のアメリカのテレビ番組「Sister, Sister」は、30年以上前に放送された番組ながらNetflixでヒットし、ニールセンの調査で最も再生回数の多いドラマにランクインしました。

エンターテインメントが緊張をほぐすために不可欠なツールだとすると、とりわけコロナ禍の今において、懐かしさはホッとさせてくれる思い出であり、肌になじんだパジャマのようなものと言えるでしょう。急上昇した懐かしさに関するツイート1 には、”ノスタルジー”、”リブート”、”再視聴”といった言葉が多く使われていました。
 

”ブルーズ・クルーズのスティーブの動画を見て泣いちゃった。子どもの頃のことを思い出させてくれたの”

メディアやエンターテインメント業界のマーケターは、レトログッズを再発売する、または再会スペシャル番組や人気シリーズを扱った新しいコンテンツを製作するといった方法で、懐かしさをテーマにした市場に参入し話題に参加することができます。2022年に公開される「トップガン」の続編や「バットマン」シリーズの復刻版、「キューティ・ブロンド3」のように、先を見据えるために過去を振り返ってみることで多くのチャンスが得られるでしょう。

 

レッドカーペットを敷いて、劇場に戻ろう

興行収入が勢いを取り戻すことを疑う必要はないでしょう。ソニー・ピクチャーズの「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」は、映画サイトのFandangoで前売り券の発売初日に、コロナ禍以前の2019年公開映画「アベンジャーズ/エンドゲーム」以来の売上を記録しました。大勢のファンが前売の開始と共にツイートし、インターネットがダウンする事態になりました。

この作品の公開が当初の予定より1年半以上も延期されたことを考えると、2022年に公開される新作でも同様の盛り上がりが確実に起こると私たちは期待しています。そして映画館に足を運ぶ人たちも、同じように期待しています。直近半年間の映画に関するツイートは、その前の半年間に比べて48%も増えているのです2

そして映画会社は、期間限定での劇場独占公開や、PVOD(プレミアム配信)、SVOD(定額制配信)での早期公開といった試みを始めています。映画ファンはお気に入りの話題作について、劇場公開から動画配信までインターネット上で会話を続けています。
 

”12時間ぶっ続けで映画館で映画を観たけれど、今夜も映画館へ行く。ちょっと中毒になっているかもね。ずっと行けなかったけれど、映画館にいると幸せを感じるんだ”

公開スケジュールを見ると、確かなことが1つあります。スケジュールが密になってきているということです。公開が集中し多くの人々の声が湧き上がる中で、メディアとエンターテインメント業界のマーケターは先へ進まなければなりません。映画会社がさらに大きくクリエイティブになれば、それがきっかけとなってオーディエンスとつながりを持つことができます。人々が何を話しているのかを知ることが大切です。さらに効果的なのは、彼らが何をツイートしているかを知ることです。
 

リモートだったことやリモートを継続することは、世界につながる確かな方法

劇場への回帰により観客動員数は急増し、加えて、自宅で動画を楽しむ視聴者は世界中に広がっています。昨年ヒットした韓国のドラマシリーズ「イカゲーム」に関するツイートは3,400万件にのぼり、北アメリカから南極に至るすべての大陸でツイートされました3。また、フランスのドラマシリーズ「Lupin/ルパン パート1」は世界の208の国と地域にわたりインターネット上で話題となり、スペインのドラマシリーズ「ペーパー・ハウス シーズン4」に関するツイートは4,300万件にのぼりました4

これら3つのドラマシリーズ作品は、すべてNetflixで最も視聴されたドラマと映画作品のトップ10に入りました。オーディエンスはどこにいても自由につながり、世界中でエンターテインメントを楽しんでいるのです。

”世界中で盛り上がっているのに乗り遅れちゃったみたいだけど、「イカゲーム」のエピソード1はどうしてこんなに面白いの!”

これらのデータが示すように、どの国で製作されたかに関わらず、作品について多くの会話が生まれる状況は今後も続くことでしょう。

 

これら3つの予測は、来たるべき年にどのようなことを意味するのか?

この2年で、オーディエンスはこれまで以上に早く頻繁に変化するようになったため、私たちはエンターテイメントなどにおける消費パターンを考え直さなければならなくなりました。もし継続的な変化に関するインサイトを与えてくれるメディアがあるとすれば、それは公共の場での会話です。それがTwitterなのです。

2022年は、ここまで見てきたように懐かしさを感じさせるものや、新しいコンテンツ、よりグローバルな表現などによって、メディアとエンターテインメント産業にとって活気に満ちた年になりそうです。求める成果が何であっても、Twitterは変化し続ける状況下で進むマーケターを、一度にひとつの会話でサポートします。

 

著者:Ged Tarpey(@Ged)はアメリカのTwitterグローバルメディア&エンターテインメント担当マネージングディレクターとして、アメリカをはじめ世界中の映画会社やテレビ局、動画配信会社、出版社、プロスポーツリーグ、スポーツくじの各社と強い信頼関係を築くことに注力している。過去には、母国英国のマンチェスター・シティでプロサッカー選手として活躍した。

Source: 
1 Twitter内部データ(セマンティックコア)。2019年1月1日〜9月28日までのデータを2020年1月1日〜9月28日までのデータを比較。米国内のみ。2020年9月28日の取得データ。
2 Twitter内部データ(セマンティックコア)。グローバルデータ。2020年11月1日〜2021年11月1日。
3 Twitter内部データ(セマンティックコア)。グローバル。2021年1月1日〜10月31日。
4 Twitter内部データ(セマンティックコア)。グローバル。2021年1月1日〜10月31日。

 

January 24, 2022
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