調査

高関与商材購入におけるTwitter貢献度 - 新規参入モバイルキャリア-

高関与商材の購入には失敗したくない

家や家電などを購入する前に、時間をかけて調べたことのある方は多いでしょう。長い年月使用する、買い換えるのに手間がかかる、または価格が高いからこそ「失敗したくない」「後悔したくない」と考え、事前に情報収集をすることが購入を決める安心材料になっているのです。このように、購入するまでに消費者の思いや考えが大きく関与する商材を高関与商材と呼びます。

また、情報収集する過程で商品のファンとなり、他の人に勧めるケースも多くみられます。企業・ブランドとしては、購入決定の過程で確実に情報をリーチさせてシェアを獲得することが、ファンを増やすことに繋がります。

では、人々が高関与商材を選ぶ過程で、Twitterはどのように貢献しているのでしょうか?今回は、2021年に新規参入したモバイルキャリアを実例にして調査を行いました。
 

調査概要

2021年にサービスを開始したモバイルキャリアサービスの3ブランド(ahamo, povo, LINEMO)を過去3月に契約・今後6ヶ月で検討している人々を分析しました。

対象者:18-44歳の男女

調査期間:2021年5月13日〜5月19日

調査実施機関:Kantar Japan

調査方法:Kantar TNS CONNECT Model

調査主体:Twitter Japan
 

ソーシャルメディアの貢献度はテレビの2倍

アンケート調査を元にした今回の分析では、新規参入モバイルキャリアの認知・検討・契約の各ファネルプロセス、ブランドへの思い入れを測るエクイティスコア、また契約後にブランドにお金を払う行動のスペンドシェアに繋がった直近3ヶ月間のブランド体験を、テレビ・ソーシャルメディア・ブランド公式サイト・その他広告など各種媒体別の貢献度として測定しました。また、その体験をどの情報によって得たのかを覚えているか(メモラブルリーチ)、態度変容に与える影響があったか(クオリティ)を結びつけ、各種媒体がもたらすインパクトの内訳を算出しました。

その結果、認知・検討・契約・マインドシェア(頭の中でのブランドの存在感)・スペンドシェアの全てのフェーズにおいて、ソーシャルメディアがテレビと比較し2倍以上貢献していることがわかりました。インターネットを活用して購入に関する情報収集することは一般的になっており、また、新規参入モバイルキャリアが主に若年層に向けられた新しい商材であることから、特にソーシャルメディアの情報量が大きく貢献したと考えられます。
 

新規参入モバイルキャリアへの貢献度

Twitter マーケティング リサーチ結果

また、ソーシャルメディアのプラットフォーム別のファネル総合貢献度*を見ると、Twitterがもっとも貢献していることがわかりました。
 

ソーシャルメディアファネル総合貢献度

Twitter マーケティング リサーチ結果

*ファネル総合貢献度:各ファネルの貢献ウェイトが等しいとし、それぞれをポイントに置き換え足し上げた合計
 

認知・検討・契約全てにTwitterの高い貢献度

認知・検討・契約のファネルにおけるソーシャルメディア貢献度の内訳では、Twitterがいずれのファネルでももっとも高い貢献度となりました。では具体的にTwitterにおけるどの体験が購入の判断材料に大きく起因したのでしょうか?
 

認知・検討・契約時のソーシャルメディア貢献度

Twitter マーケティング リサーチ結果

Twitterの貢献度が特に高かった認知ファネルを例に見ていきます。認知ファネルでは、ニュースやトレンドによる情報体験がもっとも貢献していることがわかりました。Twitterでみたニュースやトレンド欄の話題をきっかけに新規参入モバイルキャリアについて知り、そして公式アカウントの投稿から具体的な情報を得ていると考えられます。トレンド欄にはTwitter広告の1つであるトレンドテイクオーバーが表示されるため、この時期に出稿したキャリアの広告も効果的にリーチできたと言えるでしょう。また3位の「有名人による投稿」ですが、テック系やお得・節約情報をツイートしているジャーナリストなどが該当し、各社の料金プランを比較した独自の表などTwitterだからこそ見つけやすい情報が価値になっています。
 

Twitter上のブランド体験別認知への貢献度

Twitter マーケティング リサーチ結果


ロイヤリティ形成と継続利用への貢献

高関与商材は、購入した後にロイヤリティが形成されることで継続利用につながり、その結果、ライフタイムバリュー(顧客生涯価値=LTV)が拡大します。冒頭でマインドシェア、スペンドシェアいずれにおいてもソーシャルメディアが大きく関与していることをご紹介しましたが、ここでもTwitterの貢献度が高い結果となりました。
 

マインドシェア、スペンドシェアへのソーシャルメディア貢献度

Twitter マーケティング リサーチ結果

その中でもマインドシェアへの貢献度は、Twitterが高い結果となっています。マインドシェアが向上することで、他社ブランドへの乗り換えが起きにくくなり、消費者はブランドと心理的に強くつながる(ブランドエクイティを形成する)こととなります。マインドシェアに貢献したTwitterの体験を調査したところ、やはりニュースやトレンドがブランドエクイティ形成に役立っていることがわかりました。ここで特徴的なのは、広告が上位にきていることです。Twitterを通じての体験について質問したフリー回答では、「Twitterでみた動画広告が面白かった」「広告を見て業界が変わる予感がした」といった好意的なコメントが見られました。広告を活用することで、意図したリーチが獲得できていることが分かります。
 

Twitter上のブランド体験別、マインドシェアへの貢献度

Twitter マーケティング リサーチ結果


Twitterならブランドと生活者が双方向でコミュニケーションが取れる

ブランドと消費者との関係は「伝える」から「語り合う」に、「働きかける」から「寄り添う」へと、新しいフェーズに進んでいます(出典:『SNSの住人になるということ』 片平秀貴著)。今回の調査結果を見て分かる通り、利用者同士の情報交換はもちろんのこと、ブランドとの双方向コミュニケーションが取れるプラットフォームであるTwitterは、今後ますます購入の意思決定に影響し、売り上げに貢献していくでしょう。
 

考察

高関与商材の購入までの過程(認知、検討、契約)で、Twitterは重要な役割を果たしていることがわかりました。また、Twitterからの情報はただリーチするだけではなく記憶にも残りやすいため、ロイヤリティと継続利用においても効果的に働いています。

ここでブランドが考えるべきは、第一にニュース性を演出することです。Twitterのニュースやトレンドに上がることで情報収集の際に注目されやすくなり、人々は「この商品が話題になっているようだ」と興味を持ちます。同時にブランド公式アカウントを活用し、常に正しい情報が届くように、継続発信していく必要があります。そしてトレンドテイクオーバーやタイムラインテイクオーバーといったTwitter広告を活用することで、伝えたい情報が話題の中心になる仕掛けができるでしょう。

October 08, 2021
Tags
  • 調査
  • 日本

関連するコンテンツ

Xからの最新マーケティングインサイト

メールにていち早くお届けします。