#PoweredByTweets2021 受賞者インタビュー

クリエイティブの力を社会課題の解決に活かした貴重な経験とは?【#PoweredByTweets2021受賞者インタビュー】

2020年からスタートした「#PoweredByTweets」は、クリエイティブの力とTwitterで社会課題の解決を目指すアイデアコンペです。これは広告主にブランディングやマーケティング戦略の提案をするチームであるTwitter Next主催のもので、広告代理店のクリエイターやプランナーの皆さんからプラットフォームであるTwitterを活用したアイデアを募集します。受賞したアイデアはNPO・NGOとTwitter Nextとのパートナーシップにより、実際のTwitter広告キャンペーンとして展開されます。今年、2022年も第3回の開催が決定し、エントリー受付を開始しました。詳細は記事の末尾でご案内しています。

昨年開催された#PoweredByTweets 2021のテーマは「女性のエンパワーメント」。3つの課題に対して、177作品の応募がありました。そして、特にクリエイティビティとインサイトあふれる3作品を受賞作品として選定。国際NGOプラン・インターナショナルとの連携により、MORE VOICE projectとして、キャンペーン施策を実施しました。

#PoweredByTweetsは、社会課題の解決に向けたアイデアを応募してもらうだけではなく、実際のキャンペーンとして展開し、広く世の中に啓発していく点が最大の特徴です。

今回は、#PoweredByTweets 2021で受賞に輝いた3作品の企画者の方々に、#PoweredByTweetsへの参加意義、コンペや企画の経験を通じて得られたことについてお話を伺いました。
 

最初から認知最大化を目指す手法ではなく、徐々に認知を広げていく

時代遅れを昔ばなしに。#女子昔ばなし 【グランプリ受賞】

チーム:さとさん
株式会社電通
PRS局  プランナー/PRプランナー 佐藤佳文 様
CXCC局 アートディレクター  大久保里美 様

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―― 初めに、受賞作品の企画概要を教えてください。

「女性にまつわる時代遅れな話」はまだまだ世の中に存在しています。それを発信しやすくするために、人々が知っている「むかしむかし…」という昔ばなしフォーマットに着目し、Twitter上で昔ばなし風に変換しツイートしてもらうという企画にしました。

どのくらいのツイートが集まるかは疑問だったのですが、意外と面白がってツイートしてくれる人が多く、想像していた以上の反応を得られたと感じています。

―― #PoweredByTweetsに参加して得られたことはありましたか。

普段の仕事でもTwitter向けの企画を実施してきたのですが、今までは告知のためにしか使っていませんでした。そこで今回は、Twitterのインタラクティブな特性を生かした企画にしました。これまで意識していなかった視点を得られたことは、大きな収穫でしたね。

広告案件というと、初めから認知獲得の最大化を目指す「垂直立ち上げ」が基本ですが、Twitterの広告キャンペーンでは、「ティザー」「ローンチ」「サステイン」と3つの期間に分けた設計が基本となります。時代の潮流として、マス広告の主流である「垂直立ち上げ」のアプローチが難しくなってきていると感じます。派手なプロモーションよりも、徐々に時間をかけて広めていく方が、今の時代に合っているのかもしれません。今回のキャンペーンも、ティザーの段階からゆっくりと認知を広げる方法を選んだことで、「確かにこういうアプローチも重要だな」と気づくことができました。

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株式会社電通 PRS局 プランナー/PRプランナー 佐藤佳文氏

 

――Twitterと他プラットフォームでは、アイデアの発想法や企画の作り方に違いはありましたか。

「利用者との会話をしやすくすることが必要」という点が、最大の特徴だと思います。だからこそ、テキストは短い方が好まれます。しかし、テーマの特性上、短くしすぎると誤解を与えてしまう。そこはかなり強く意識しました。

――Twitterとともに企画から実施まで取り組んだ感想をお聞かせください。

毎週金曜日にTwitter Nextのオフィスアワーが設定されていたので、毎回申し込んで色々なテーマでディスカッションさせていただきました。このネタだったらどうツイートすべきなのか、様々な広告メニューをどう使い分ければよいのか、など具体的にアドバイスいただくことができました。

――応募を検討されているクリエイターに向けたメッセージをお願いします。

昨今、社会課題をテーマにした仕事が増えてきているとはいえ、特に若手の方はまだまだそういった機会は少ないと思います。普段触れないテーマに取り組むことで鍛えられる部分は大きいですし、Twitterという特定のプラットフォームでの企画を深く考えられる点は大きなメリットだと思います。
 

「オフィスアワー」がTwitterならではの企画の工夫を教わる機会に

#大人になった私から女の子へ 【準グランプリ受賞】

チーム:環八
株式会社電通 
第2CRプランニング局 コピーライター アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所 舘林恵様
第2CRプランニング局 アートディレクター 村野崇行様

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――受賞作品の企画概要を教えてください。

この企画は、大人の女性達からジェンダーバイアス体験談を募集して、それらをTwitter上で可視化すると共に、その声を今を生きる女の子達にポジティブな応援として届けるキャンペーンです。3月3日のひな祭りから3月8日の国際女性デーにかけて配信を行いました。

――応募動機について、教えてください。

応募した背景には、育休中の出来事があります。息子が生まれた時に「どういう人になってほしいか」を考えたらキリがなくて、まず「こうだけはなってほしくない」を1つ決めました。それが「差別をする人になってほしくない」ということ。まずは自分が学ぼうと思って、性差別やフェミニズム関連の本を少しずつ読み始めたら、過去のモヤモヤした経験が思い出されてきたんです。

例えば「女の子は勉強も仕事もそこそこでいい」と言われたこと。これってまさにジェンダーバイアス、女の子に対する“呪い”だったんだと気づいて、腹が立つと同時に、私は私でいいんだと楽な気持ちにもなって。

育休復帰直後に#PoweredByTweetsを知って、自分ごとにできるテーマだと思って応募しました。今でもジェンダーバイアスや呪いのような言葉や体験に苦しむ女性達の声が日々Twitterに集まっています。「いま愚痴として消費されている声は、女の子の未来のための財産にできるのでは?」というメンバーの村野の気づきをきっかけに、企画を練っていきました。

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株式会社電通 第2CRプランニング局 コピーライター アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所 舘林恵氏

 

――実際にキャンペーンを実施されてみていかがでしたか。

ジェンダーというテーマを真っ向からSNSで発信することには勇気も必要でした。しかし、様々なリスク対策をして、ひな祭りから国際女性デーまでの期間で実施させていただいたところ、想像以上にポジティブな反響があったことが嬉しかったです。大人の女性たちの女の子たちを思う気持ちが温かくて心強くて、チームで「泣けますね」と言いながら集まったツイートを見ていたことを覚えています。

――他のプラットフォームと比べ、Twitterにおけるクリエイティブの作り方に異なる点はありましたか。

私は今まで、コピーライターとして主にマス広告のキャッチコピーを書いてきました。企業のメッセージやブランドの価値をどう短くかたちにするか、という視点で言葉を作ってきたのですが、今回、#PoweredByTweetsの企画に取り組んでみて実感したのは、ハッシュタグとキャッチコピーでは、言葉の目的が違うということです。最初はキャッチコピーのようなハッシュタグばかり書いていたら、TwitterNextの方々からフィードバックをいただいて。ハッシュタグは、利用者が自分ごと化できるか、このハッシュタグを付けて自分のメッセージを発信したくなるか、といった視点が重要だと学びました。

――#PoweredByTweetsに参加して得られたこと、感じられたメリットを教えてください。

企画段階からTwitterの方々に企画を見てもらえる「オフィスアワー」という仕組みが素晴らしいと思いました。その中でTwitterならではの企画のポイントや工夫を教わることができて、とても有意義でした。

キャンペーン実施の際には、モーメント*の使い方も具体的にアドバイスいただき、Twitter初心者である私にとっては学びだらけの時間でした。また、コンペの最終プレゼンで他社の方々のプレゼンを見れる点も、逆に自分が晒される点も、なかなかできない経験です。

*記念日・祝日・季節のイベントなど、Twitter上で特に会話が盛り上がる瞬間のこと。

――今回得られた経験は、今後のクリエイティブの企画・制作にどのように生かすことができそうでしょうか。

当初、TwitterなどSNSの仕事には苦手意識があったものの、今回ひと通り経験させてもらったことで「案外できるかもしれない」と思うようになりました。現在では、マス広告だけでなく、積極的にSNSの企画も考えるようにしています。

――応募を検討されているクリエイターに向けたメッセージをお願いします。

Twitterを活用した仕事の経験がなかったり、苦手意識を持っていたりする人にこそ参加をおすすめします。オフィスアワーを使えばTwitterの方々が懇切丁寧にフィードバックをくれますし、Twitterというプラットフォームを使って社会課題にアクションを起こすクリエイティブを考えるのも、なかなかない機会です。

今はTwitterで集まった声をもとに中学校向けにジェンダーバイアスを話し合う授業を開発していて、10月11日の国際ガールズ・デー付近で実施予定です。私は広告の仕事以外に15年ぐらい教育の仕事もしてきたのですが、Twitterで集めた声を学校現場に活かす展開ができていることも、とてもありがたいです。
 

企画のみならず、実践まで取り組むことで学びを得られた

女性の発言力は14文字 【Twitter Next’s Choice受賞】

チーム:中太
株式会社電通 
第5CRプランニング局 プランナー 中辻裕己様
第5CRプランニング局 プランナー 太田文也様

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――賞作品の企画概要を教えてください。

今回は他のSNSではなくTwitterの企画ということだったので、その特徴を生かそうと考えました。そこで「ハッシュタグで発言を制限するとどうだろう?」という発想から、この企画が生まれました。当社でも女性社員比率は増え続けていますし、女性のエンパワーメントは身の回りで一番感じてきた部分だったので、発想自体はパッと出てきたことを覚えています。

社会的な女性の発言力を1割として、140文字中の126文字をハッシュタグで埋めようという企画で受賞はさせていただいたのですが、実施の段階で実はそこまで長いハッシュタグが作れない(上限100文字)ことがわかりまして。企画を考案した段階で盛り上がってしまい、実現への確認を怠った結果、実施段階で頭を悩ますことになりました。

――Twitterだからこそ工夫した点はどのあたりでしょうか。

最初の企画では、126文字のハッシュタグで企画意図の説明をした上で、残りの14文字で利用者に表現してもらうことを考えていたので、逆に126文字ぴったりでいかに説明するかという自分自身のコピーワークに大変さがありましたね。最終的には、ハッシュタグは100文字までだったので、シンプルに「14文字でつぶやいてください」という投げかけをした形になりました。

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株式会社電通 第5CRプランニング局 プランナー 中辻裕己氏

 

――キャンペーンを実施してみていかがでしたか。

私たちが伝えたかったメッセージは、女性議員を5割にしたいとか、女性管理職の割合を5割にすべきという主張をしたいわけではなく、「1割という事実」を知ってくださいということです。しかし、企画を実施してみると、意に反して「そうやって女性に下駄を履かせるんですね」という意見や、「逆差別ではないか」といった意見をいただくことも多かったです。

「いいね」もたくさん集まったのですが、キャンペーン開始直後には批判的なコメントばかりが集まってしまい、プラン・インターナショナルさんとも緊急の打ち合わせをしました。

――どのようなディスカッションをしていったのでしょうか。

あくまでも数字やデータで事実のみを伝えることを徹底するとともに、今回の企画意図である「14文字の発言」を促すお題を投稿することで、参加してくださる方が何をすべきかを明確にする。その上で、事態を見守りながらキャンペーンを完走しよう、と。コメントを適宜チェックしながら、より密に連携するようにしました。

――#PoweredByTweetsに参加したことで得られたものを教えてください。

企画で終わるのと、実践まで取り組むことでは全く違うのだなと思いましたね。事実を伝えていても、意に反する批判的な言葉が集まってくると、私たちだけではなく見ている側もうんざりしてしまう。正論だけではダメなのだと痛感しました。

ただその中で、多数集まっていた「いいね」をどう救っていくか、といったことが今後の課題だと強く感じています。

――応募を検討されているクリエイターに向けたメッセージをお願いします。

代理店のクリエイターだけが参加する中、受賞までたどりついたことを誇らしく思います。そしてやはり「実践」まで取り組めるからこそ、普通のコンペとは違った学びを得られると感じています。
 

第3回となる今年のテーマは「サステナビリティ」

――今年実施されている#PoweredByTweets2022 について、教えてください。

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Twitter Japan株式会社 太田和音

 

#PoweredByTweets2022は一般社団法人SWiTCHとパートナーシップを組んで実施する予定です。SWiTCHは、未来の主人公となる20代の若者たちを大人世代がサポートし、サステナブルな社会を実現するプラットフォームです。「Transition to Earth Citizen〜地球のことを自分ごとに」というミッションのもと「Z世代の環境リテラシー向上」「組織のサステナブル化の促進」「業界や年齢の壁を超える場の提供」という3つの目標を掲げ活動されています。

サステナビリティという大きなテーマの中でも、特にSWiTCHの活動と近い2つのテーマに基づいたアイデアを募集します。

  1. 環境リテラシーの高いZ世代と大人世代の架け橋となり、アクションを促すキャンペーン

  2. 気候変動の影響を最も受けている「MAPA:Most Affected People and Areas」についての認知・理解を深め行動を促すキャンペーン

受賞チームには今年もキャンペーンを実施予定です。一緒に良い取り組みができることを楽しみにしております。

エントリー締切:2022年8月31日(水)
1次審査結果発表:2022年9月下旬予定
最終プレゼンテーション・結果発表:2022年10月3日(月)予定
受賞作品によるキャンペーン実施は、今年の終わり頃から来年を予定
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