広告スキップ率が13%低下、ブランド想起率も10%増加 / Xのプレロール広告がリデザイン

Xは2021年1月、提携しているコンテンツ配信パートナーの動画本編の前に流れるプレロール広告のリデザインを実施。広告の表示方法がアップデートされたことにより何が変わったのか、また出稿する広告主にどのようなメリットがあるのか、リデザインに携わったX JapanのWalid Lassoued(ラスエド・ワリード)に話を聞いた。


プレロール広告の特徴とは?

MZ:まず、プレロール広告とはどのようなものか教えてください。

ワリード:プレロール広告とは、Xが提供する広告フォーマットの1つです。200以上のコンテンツ配信パートナーが配信する動画本編の前に広告を配信することができます。パートナーは自動車やライフスタイル、スポーツ、音楽など多岐にわたるジャンルの動画を配信しています。広告主の方はその中から表示したいカテゴリーを選択することもできます。

X Japan株式会社 Global Video Solutions Lead Japan & Korea  ラスエド・ワリード


MZ
:コンテンツ配信パートナーには、どのような企業やメディアが参画しているのでしょうか。

ワリード:これまで、グローバルではたとえばBusiness Insider、CNN、Fox News、Fox Sports、Hearst Magazines Digital Media、IGN、Meredith Corporation、Reutersなどの200以上のコンテンツパートナーと協業を行ってきました。

日本においても具体的な企業名を出すことはできないのですが、メジャーな企業様にコンテンツパートナーとして協業いただいており、その数は増えております。

MZ:Xの動画フォーマットにはプロモビデオもありますが、違いはなんでしょうか。

ワリード:大きな違いは2つあります。1つは動画素材だけで出稿できるという点です。プロモビデオの場合はツイート文と動画をセットで用意する必要がありますが、プレロール広告であれば動画素材があれば出稿できるため、テレビCMや他の動画広告の素材があればすぐに出稿できます。

もう1つは、コンテンツ配信パートナーのアカウントで動画広告が配信されるということです。Xの利用者が興味関心を示しているコンテンツの前に広告を出せるため、コンテンツの価値を有効活用できるメリットがあります。


プレロール広告がリデザイン、その理由は?

MZ:そのプレロール広告が今回リデザインを行ったのはなぜでしょうか。

ワリード:プレロール広告が企業による広告であることを、X利用者の方に対してより明確にするためです。今回のリデザインではブランド名とロゴを表示し、広告のラベルも追加しました。さらに、動画の右下にはパブリッシャー動画のサムネイルをカウントダウン付きで載せているため、あと何秒でどんなコンテンツが始まるかがわかりやすくなっています

これまでXでは一部の動画で様々なテストを行ってきましたが、ブランドロゴと名称を出すことがUXの視点でもブランディングの視点でも効果的であることがわかっています。そのため、今回リデザインを行い、数週間にかけて各デバイスでローンチを行ってきました。

Twitter マーケティング プレロール広告 リデザイン


広告スキップ率が13%低下、ブランド想起率も10%増加

MZ:では、リデザインによってどのような変化が期待できるか教えてください。

ワリード:まず、動画の視聴完了に関わる数字が改善されることが期待されています。Xが行ったテストでは、プレロール視聴完了前に広告をスキップする確率が13%低下しており、動画全体の視聴完了率も2%増加しています。広告と動画の視聴体験が大きく改善したと捉えています。

-13%
プレロール視聴完了前の
広告スキップ率

出典: X社内 2020年。4週間のAndroidユーザーテストによるデータ。


MZ
:10%以上改善しているのはとても良い変化ですね。今回のリデザインによって、広告主にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

ワリード:Xの調査によると、プレロール広告表示後のブランド想起率が10%増加しており、ブランドに対する好意的な意見も9%増加しています。これはリデザインでブランドロゴと名前を明示していることが要因となっています。別の調査では、動画で一番ユーザーの記憶に残りやすいのは冒頭5秒と言われています。そのタイミングにどのブランドによる広告かが明示できたことで、広告効果も改善されたと考えています。

+10%
プレロール広告表示後の
ブランド想起率

出典: XおよびEyeSee、2020年。旧デザインと直接比較したデータ。


1秒目からメッセージが伝わるクリエイティブを

MZ:続いて、プレロール広告の効果を最大限発揮するために必要なことを教えてください。

ワリード:Xでキャンペーンを実施する際は、複数の広告フォーマットを利用すると効果が上がりやすいことがわかっています。そのため、プレロール広告だけでなく、プロモビデオやプロモツイートなどを活用いただくことをおすすめしています。

また、プレロール広告はモーメントを捉えることが特に重要な広告フォーマットです。コンテンツ配信パートナーの皆様は、バレンタインや新生活など、これから盛り上がるモーメントに備えて動画制作を進めています。Xでも四半期ごとのモーメントカレンダーを提供しておりますが、そちらを参考に自社のブランドにあったモーメントに沿ってプレロール広告を活用いただくと、効果も高くなると考えています。

MZ:プロモビデオと違い、コンテンツを見に来ている方に接触するため、動画のクリエイティブにも工夫が必要かと思いますが、いかがでしょうか。

ワリード:プレロール広告の場合、冒頭ですぐメッセージが伝わる動画にすることが重要ですね。コンテンツ配信パートナーの動画に接触しても、すぐタイムラインをスクロールしてしまう方もいると思いますので、1秒目からメッセージを伝えていく動画素材のほうが、効果としては高くなると思います。また、6秒ほどで終わる短尺の動画素材を作るのも効果的です


プレロール広告で気を付けたい、入札タイプとは?

MZ:この他に、プレロール広告を活用する際に気を付けるべき項目はありますか。

ワリード:あとは、入札タイプにも気を配ると、目的に合わせた配信が行いやすくなります。入札タイプには自動入札と上限入札単価の2パターンあり、基本的には自動入札をおすすめしています。

ただ、リーチよりも動画を長く見てほしいといった目的が明確にある場合は、上限入札単価を選択し、6秒/50%表示再生の設定をしていただくのがおすすめです。リーチを広げやすい3秒/100%表示再生の設定に比べ、6秒/50%表示再生の設定のほうが深いエンゲージメントを獲得できるためです。

このように、動画広告においてリーチを求めるのか、それとも完全視聴率を求めるのかで活用すべき入札タイプも異なりますので、うまく活用いただければと思います。


配信パートナー数も増やし、動画広告プラットフォームとして進化

MZ:最後に今後の展望を教えてください。

ワリード:新しいフォーマットを提供して以降も、利用者の視聴態度がどのように変化し、広告パフォーマンスがどうなっているかを引き続き検証します。そして、プロダクト開発チームとも連携しながら、さらなる改善に励みたいです。

また、新しいコンテンツ配信パートナーとの連携も強化していく予定ですので、これまでプレロール広告を使ってこなかった広告主の皆様にもぜひ活用いただきたいと考えています。

Xと言えばテキスト中心のプラットフォームという印象をお持ちの方も多いかもしれませんが、X利用者の動画投稿数や視聴時間は年々増加しており、動画広告の売上も増加しています。今後はマーケターの皆様に動画広告のプラットフォームとしても認識してもらえるようにしていきたいです。

March 25, 2021
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  • ブランドを宣伝する
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