Twitter活用事例

ミスタードーナツが語る、Twitter活用成功までの軌跡【

2019年8月28日にTwitter Japan主催のイベント「」が開催された。「Twitter上で生まれる会話・話題化」をテーマに、どうやってTwitter上で会話を起こすのか、会話がブランドにとってどのような価値をもたらすのか、各セッションを通してその答えを探っていく。本記事では、イベントの一部をレポートした。

広がる西日本地域のTwitter活用

はじめに、開会の挨拶のため登壇したのは、Twitter Japan 代表取締役の笹本裕氏。現在日本のマーケットは、全世界で広告取引高の16%を占めており、多くの広告が出稿されている。

これについて笹本氏は「昨年からTwitterのアクティブ利用者数は4,500万を超えています。これだけの利用者が様々な会話をしており、商品・サービスについても幅広い会話が起きています」とした上で、西日本地区(名古屋から大阪、九州までを含む)における注力ポイントに話を移した。

Twitter マーケティング #Twitter4Osaka

Twitter Japan株式会社 代表取締役 笹本 裕氏

ポイントは2つあり、1つは「ブランドDR(ダイレクトレスポンスの略)領域の開拓」、もう1つは「テレビとTwitterのダブル活用」だ。Twitterでの会話を通してブランディングしていくことがDRの最適化につながること、テレビとの同時活用が特に西日本では効果的なことを伝えて、取り組みを強化している。その影響から、この3年間で大阪オフィスでは広告取扱高を6倍以上、企業のアクティブアカウントも2倍以上に成長させた。

さらにTwitterと西日本のテレビ局による、コンテンツパートナーとしての取り組みが活性化してきていることについても触れられた。テレビ局にとっては視聴率の向上、放送外収益というメリットがあり、企業にとってはリーチの補完になる。さらにはTwitterでコンテンツを見た人たちの会話を分析することでコンテンツの内容を即座に修正し、広告価値も高まっていくという好循環が生まれると解説した。「こうした取り組みはもっと多くなる」と笹本氏。

そして最後に同氏は「デジタルという狭い領域だけでなく、新聞、テレビをはじめとした様々なメディアを組み合わせた広告展開ができるはず。それがTwitterで会話が増幅することで、より広告価値が高まっていくことを期待しています」と語り、挨拶を終えた。

ブランドが会話を起こすための3つのポイント

「ブランド起点にTwitterで会話を起こすヒント」をテーマに語ったのは、Twitter Japanでブランドストラテジストを務める山岸ななえ氏。

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Twitter Japan株式会社 Brand Strategist 山岸 ななえ氏

同氏は「Twitterは、元々人が持っている気持ち(インサイト)をツイートで顕在化することにより、会話が生まれるプラットフォーム」という前提のもと、ブランドが会話を起こすためのポイントとして以下の3つを挙げた。

1.会話は「自分ゴト化」から始まる

2.そのために、会話のネタを設定しオーディエンスを巻き込む

3.会話のネタはブランドが伝えたいこと、オーディエンスが話したくなることから導き出す

1つ目の「会話は『自分ゴト化』から始まる」に関しては、従来の広告コミュニケーションと比較しながら解説が行われた。まず、テレビCMなどを中心とした従来の広告コミュニケーションの場合、認知をして世の中ゴトを作り、それが身内ゴトとなって、自分まで到達したときに初めて自分ゴト化する。

一方Twitterの場合、自分のインサイトをツイートで顕在化させるため、ツイートを見たときに自分ゴトとして当てはめやすい。そして、自分ゴト化されたツイートが身内、そして世の中へと広がっていく。Twitterにおける情報流通の仕方がこれまでとは違うことを認識することが、企業担当者には求められる。

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続いて2つ目の、「そのために、会話のネタを設定しオーディエンスを巻き込む」は、企業側から会話を起こすための仕掛け方のポイントとなっている。企業側から「○○について自由に話して!」と語りかけても、オーディエンスは何を話して良いかわからず、会話は起きにくい。そのため、企業側がある程度回答しやすい枠組みを作ることで、会話が起きやすくすることが重要だという。

そして、3つ目の「会話のネタはブランドが伝えたいこと、オーディエンスが話したくなることから導き出す」は2つ目のオーディエンスを巻き込むためには重要なポイントである。山岸氏は3つ目のポイントについて、具体的なネタの設定方法を説明した。

「企業・ブランド側が提供できる機能的価値(特性・品質)、情緒的価値(得られる感情)と、Twitter利用者側のターゲット(誰に向けて)、モーメント(どんなとき)、インサイト(どんな気持ち)を踏まえて共通項を探し、会話のネタを設定していくことが重要です」(山岸氏)

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山岸氏はこれら3つのポイントを踏まえ、ブランド側から会話を創出する仕組み作りに取り組むことを勧めた。

Twitterで会話を生む価値とは?

山岸氏のセッションで、Twitterでの会話をマーケティングに活用する上でのポイントは理解できた。しかしながら、活用することでブランドにとってどのような効果が生まれるのだろうか。この点について説明してくれたのが、Twitter Japanリサーチマネージャーの竹下洋平氏。同氏は「定性的・定量的に見たTwitterでの会話の価値」について、Twitter Japanが調査分析してきた結果と考察をもとに明らかにした。

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Twitter Japan株式会社 Market Insights & Analytics リサーチマネージャー 竹下 洋平氏

定性調査として行ったのが、個別インタビュー。子どもがいる主婦数名に、企業のツイートや広告を見たときにどう思うかを尋ねた。その中では、「企業のツイートを見ると親近感が湧く」、「他では得られない情報が商品購入に役立つ」、「Twitterの広告を会話のネタにして話をする」といった声が挙がってきた。

定量調査に関してはいくつか実施されており、その中の一部が紹介された。まず、インテージが提供する「SCI(全国消費者パネル調査)」を使ったデータ関係性分析では、実際の商品購買データとTwitterの関係性を分析している。調査に利用したのは、「NTTデータの全量ツイートデータ」「Twitter広告データ」「インテージのSCIデータ・気象データ」の3つだ。

このデータをもとにとある炭酸飲料Aに関して、ツイート・広告直接間接効果推定 (構造方程式モデリング)という手法を利用し、どの要素が何に影響しているか因果関係で分析したところ、関連するTwitter広告が炭酸飲料Aに関するオーガニックツイートの発生に影響があること、更にそれらのツイートが実購買に影響があることが証明された。

また、Twitterでの会話を誘発する広告メニューの効果測定も実施している。広告接触者・非接触者間で広告効果の違いを計測した事例では、カンバセーショナルカードを用いたキャンペーンを行った結果、広告接触者のメッセージ想起や購入意向の向上に影響していることなどがわかったという。

これらのことから、Twitter上での会話量を増幅させることがマーケティングにおいて実購買にもポジティブな影響をもたらすことが明らかになった。

そして最後に、竹下氏はTwitter上でブランドに関する会話を高いコスト効率で増幅させる秘訣を明らかにした。その秘訣を具体的に示すデータがカンター社の「DBA(デジタル・ビヘイビア・アナリティクス)調査」を利用したものだ。

同調査はツイートが効率的に発生する出稿パターンを比較分析するもので、これを用いて、テレビCMだけ出稿した期間、テレビCMと同時期にTwitter広告を出稿した期間で、それぞれの期間に発生したブランドに関する対広告費のツイート発生効率を比較。テレビCMとTwitter広告とのシナジーを分析した。

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すると、どのブランドもテレビCMとTwitter広告を同時に出稿している期間が、ブランドに関する会話が最も効率的に発生したことが証明された。つまり、テレビCMとTwitter広告を連動させることができれば、よりブランドに関する会話を増幅させることができるのだ。竹下氏も「会話を増幅させるためにテレビCMとTwitter広告の出稿時期とクリエイティブを合わせるべき」とした。

ミスタードーナツがTwitter活用でぶつかった3つの壁

最後のセッションに登壇したのは、ダスキンのミスタードーナツ事業本部 販売企画部 広告広報室 室長の叶英之氏。同氏はミスタードーナツのTwitter活用事例について明らかにした。

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株式会社ダスキン ミスタードーナツ事業本部 販売企画部 広告広報室 室長 叶 英之氏

全国に約1,000店舗を構えるミスタードーナツでは、SNSが出てきてから、様々なメディアと取り組みを行ってきた。Twitterに関しても2010年からアカウント運用を開始し、フォロワー数は94.5万人(2019年9月時点)となっている。

「SNSが登場するまではテレビCMと新聞の折り込みチラシが大きな情報伝達手段でしたが、ドーナツだけで約50種類、さらに飲茶メニューやキャンペーンなど、マスメディアだけでは情報を伝えきれない状況でした。その伝えきれない情報を伝達するのに役立っているのがTwitterです」(叶氏)

叶氏によれば、現在は平均で1日に3~5ツイート、1週間で30程度のペースで投稿が行われているという。そんなダスキンだが、Twitter活用にはいくつかのフェーズがあったという。アカウントを開設した当初は「とにかくフォロワーを増やしたい、話題にしたい」と他社事例などを参考にキャンペーンを実施してきた。

しかし、2011年の東日本大震災を機に、ファンとのつながり、双方向の関係性を重視するような取り組みに変化。商品を訴求するような内容の投稿数を減らし、返信を増やすことで、フォロワーとの関係性を深めていった。叶氏は「現在はフォロワー数が増えたのでほとんど行っていませんが、当時は投稿の7割ほどには返信していました」と振り返った。

このように運用方針を変えていく中、叶氏が次の3つの壁を乗り越える必要があることに気づいたという。

壁1:情報精度の担保
     間違った情報を出せば、間違わないための仕組み作りが必要になり、どんどん作業が大変になる

壁2:担当者のリテラシーが大切
     リテラシーの高さはメディア活用に必要。色々な新しいアイデアが生まれるかの大きなポイント

壁3:効果が見えない
     本当にお客様が情報をきっかけに店舗に来てくれているのか、売りにつながっているかが見えにくい

この壁を超える方法を探しながら、日々投稿していくが、次第に投稿内容もマンネリ化してきていたという。

予告期・販売期・認知に分けて効果を計測

Twitter活用に陰りが見える中、一筋の光が差してきた。それは「misdo meets」という共同開発企画である。最高水準の素材と技術を持ったブランドとの共同開発をコンセプトに、宇治茶専門店「祇園辻利」や人気パティシエである鎧塚俊彦氏などと共同開発していずれも話題を生んできた。

企画が始まるにあたりダスキンでは、目標と成果を明確にすることで運用に対するモチベーションを高めようと考えた。具体的には、予告期のツイート数・発売期のツイート数・認知率を計測して、相関を見ることにしたという。

そしてこのmisdo meetsの中でも、Twitterを活用して最も話題を作れたのが「堂島ロール」と共同開発した「堂島ローナツ」だ。

発売の10日ほど前より商品開発責任者のコメントつきティザー動画、発売3日前にプレスリリース、7月5日の発売日に堂島ローナツコレクションの説明動画と、徐々にコンテンツを放出していった。

加えてカンバセーショナルカードも活用したところ、発売前から急激にツイート数が増加。広告掲載期間中のツイート数6万3,000件になるなど、Twitterが話題化に大きく貢献した。

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カンバセーショナルカードを活用したツイート

このときのツイートの内訳は、リツイート40%、引用ツイート11%、オリジナルツイート49%の比率となったが、「オリジナルツイートの中身にこそTwitterの価値がある」と叶氏は話す。

「色々な感じ方、捉え方をした人がツイートしていきます。それがいわゆる「自分ゴト化」されたということだと感じています。ドーナツは『今日食べなきゃいけない』理由があまりない食べ物で、自分ゴト化されないと購買につながっていかない。だからこそ、Twitterは自分ゴト化から始めることができ、我々のビジネスにとって有益なメディアだと思っています」(叶氏)

今後の展開については、「マスメディアで全世代への情報発信をしつつ、TwitterをはじめとしたSNSで狙った世代にアプローチを行っていく」と語った叶氏。

そして「色々なメディアが出現しては、各社様々なサービスを開発している。目まぐるしく変わっていくSNSと向き合っていくには、常にアンテナを張って変化に対応していく姿勢と、常に新しいことにチャレンジしていく姿勢を持ち続けることが、メディアを上手く活用していく心がけと思っています」と述べ、セッションを終えた。

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