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映画とTwitter -「カメ止め」ツイートの猛威を分析してわかったこと

「カメ止め」ツイートの猛威を分析してわかったこと

昨年カルトヒットから一気にメインストリームへ駆け上った話題の映画「カメラを止めるな!(以下、カメ止め)」が、3月8日(金)の日本テレビ金曜ロードSHOW!にてテレビ初放送となります。上田監督が「この映画は二度はじまる」と独特の表現で説明しているように、さまざまな伏線の計算やプロットが満載の本映画は最後まで観た人の心を鷲掴みにしたほか、ネタバレ禁止を守りつつどうしてもその熱量を伝えたいという多くの人たちがTwitterに溢れかえりました。

Twitterではこの初放送を記念して、Twitter上でカメ止め関連のツイートがどのように猛威をふるったのかの分析結果を皆さんにお知らせしたいと思います。この分析で見えてきたことは、Twitter発信の情報の拡がりだけでなく、Twitterを超えてテレビに伝搬する形や、またそれがTwitterに大きな揺り戻しとなって現れたことが明確になりました。それだけでなく、公開前に行われていたTwitter上での監督、出演者の会話自体がコンテンツとなり、映画公開後に映画を観た人からリツートされ、会話が拡がっている様子もわかりました。

それでは具体的なポイントを交え、分析結果を説明します。

ポイント1:カメ止めとTwitterの圧倒的に高い親和性

公開後6ヶ月間でツイート数が855,623、想定インプレッションも2億強となっており、カメ止めとTwitterが親和性が高いことがうかがえます。実際に、カメ止め鑑賞者のうち74%がTwitter利用者となっています。カメ止めの認知経路ですが、本映画を知った情報経路としては1番目にTV番組やニュース、2番目にTwitterが挙げられており、映画タイトルの認知に大きく貢献していることがわかります。Twitter上に投稿されたツイートのワードクラウドをみると、「すごい」「面白かった」「絶対おすすめ」などの好意的なコメントや推奨を表す言葉が多いことがうかがえます。実際に映画を観た人が、自分が感じた「面白かった」という気持ちや熱量をツイートとして吐き出した結果だと考えます。

Twitter マーケティング カメラを止めるな!鑑賞者の74%がツイッター利用者
Twitter マーケティング カメラを止めるな!を一番最初に知った経路 
Twitter マーケティング カメラを止めるな!ツイッターコメント

ポイント2:特徴的な話題拡散メカニズム

映画公開前の1ヶ月と公開後の2ヶ月と3ヶ月の期間に分けてツイート数を見ていきましょう。

最初の公開前の1ヶ月では、すでにTwitter上で会話が生まれています。そもそも映画自体は一般公開前に多くの映画祭で賞を受賞しており、一部の映画ファンの間では話題になっていました。さらに一般公開に先立って出演者や監督が個性的な「カウントダウンツイート」を行ない、公開前の期待感を醸成する活動をしています。

公開から1ヶ月のあたりでは、実際に映画を観た人からの感想がツイートされ話題が拡散していきます。特に一般の人だけでなく、有名人/著名人からの推奨ツイートもこの間に数多く投稿れています。そして7月の下旬にテレビ(日テレのZIP!など)でも取り上げられて、番組アカウントからのツイートも拡散していきます。

さらにその1ヶ月後に、他のTV番組や雑誌などでも取り上げられ、上映映画館も大幅に増加しTwitter上で話題が拡散していきました。

そして今回、通常は少々わかりにくいTwitter上の拡散イメージを「拡散グラフ解析」という手法を用いて可視化しました。この手法では、Twitter上での話題の拡散や収束、それぞれの利用者の拡散行動上の役割発見、情報発信起点からの拡散グループの発見など、ソーシャルネットワークでの情報拡散状況の総合解析によく利用されているといわれます。

この解析では主に、Twitter上でのフォロー/フォロワーの関係性ではなく、実際のTwitter上でのコミュニケーションでコミュニティを抽出しています。それぞれの点が利用者を表していて、線が情報のやり取り(返信やリツート)を表しています。白い点が当該サイトを表し、緑色の点がアカウントを表しています。点と点の距離ですが、点と点が近いほど同じクラスターにリツートや返信されているので、共通した利用者に見られていると考えられます。

ポイント3:「ネタバレ厳禁」ルールが良質なコミュニティ形成に寄与

Twitter上で「映画を観た人のコミュニティ」が自然発生的に形成されていることも話題拡散の要因の一つと考えられます。本映画の特徴として「伏線とその回収」があり、「ネタバレ厳禁」というルールが鑑賞者の間でも守られていて、これから映画を観る人の楽しみを奪わないような配慮が見受けられます。このような現象もTwitterが良質なコミュニティとして機能する証と考えられます。公開後に人気だったハッシュタグのトップ3は、#カメラを止めるな#カメ止め#ポンデミックとなっており、これらを起点にコミュニティが形成されていきました。

人は面白いことを発見したり、何かに心を動かされた時に、つい誰かに話したくなる、教えたくなる、そして共有したくなる感情を持っています。友人や家族に伝える以外の方法で、Twitter上で興味関心が近しい利用者にオススメを伝える、感動を共有することがとても一般化した結果のようです。

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最後に

公開前から監督・キャスト総出でTwitterを使ってくださり、その後も映画をみたTwitter利用者の皆さんと積極的にコミュニケーションし、作品にまつわる会話を促してくださいました。それがさらに多くの方を映画館に向かわせ、映画を見た人がまたTwitterに戻ってきて感想を共有してくれるという好循環も生まれました。今回、カメ止めの魅力を語りたい人たちが集まる場所としてTwitterを選んでくださって、監督およびキャストの皆さん、映画についてツイートしてくださった利用者の皆さんに、本当に感謝しています。

皆さんがTwitterならではの会話と共感の連鎖を楽しんでくださっていたら、私たちにとってこれ以上うれしいことはありません。

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